2017年度 空間デザイン海外研修 報告

システムデザイン工学科の科目「空間デザイン海外研修」では海外各国の異文化における重要な都市・建築空間を経験し探究する機会を提供しています。ワークショップやフィールドワークを通じ、文化的な背景が異なる都市の状況や建築の事例を理解し批評する能力を養うことを目的としています。

2017年度はスペインのアリカンテ大学とアリカンテ市の旧市街地のまちづくりに関するワークショップを行い、その後、グラナダ、マドリッドに移動し、都市・建物のフィールドワークを行いました。

9月11日(月)

成田空港からマドリッド空港経由でアリカンテ空港へ。
バスにてホテルへ移動。

9月12日(火)Day 1

アリカンテ市の会議施設El Claustroにて開会式。アリカンテ大学からJosé Luis Oliver Ramírez教授(写真1-1)ほか6名が参加。自己紹介の後、アルマザン准教授からワークショップの概要について説明(写真1-2)。

写真1-1 José Luis Oliver Ramírez教授の挨拶
写真1-2 アルマザン准教授によるワークショップのガイダンス

アリカンテ市が改修したLAB15(写真1-3)に移動し、アリカンテ市の都市再開発のマスターデザインを担当した都市計画家Gasper Mayor氏の講演を聴講(写真1-4)。次に、LAB15の設計を担当した建築家Ángel Luis Rocamora氏のLAB15の設計コンセプトに関する講演を聴講(写真1-5)。その後、Gaspar Mayor氏、Ángel Luis Rocamora氏ならびにアリカンテ市住宅局Sara Prieto氏の引率で、旧市街地の改修建物13か所を見学(写真1-6~1-9)。

写真1-3 アリカンテ市が改修したLAB15
写真1-4 都市計画家Gasper Mayor氏の講演
写真1-5 建築家Ángel Luis Rocamora氏の講演
写真1-6 Ángel Luis Rocamora氏によるLAB15のデザインの解説
写真1-7 旧市街地の改修建物の見学
写真1-8 Gasper Mayor氏による旧市街地の歴史の解説
写真1-9 旧市街地の見学

昼休みを挟んだ後、フィールドワークを実施(写真1-10, 1-11)。旧市街地を4地区に分けて、一人ひとり、良い印象と悪い印象の地点を各2箇所抽出し、それらの地点を撮影して要素を事前に準備した調査シートに記録。調査終了後、英語に翻訳し、写真データを整理(写真1-12)。

写真1-10 旧市街地のフィールドワーク
写真1-11 旧市街地のフィールドワーク
写真1-12 フィールドワークデータの整理作業

9月13日(水)Day 2

昨日に引き続き英語の翻訳作業。続いて、4班に分かれ、旧市街地4地区の担当を割り振り。各班に一名以上、アリカンテ大学のメンバーが加わる(写真2-1~2-4)。昨日の調査結果から、複数同じ意見があったものを抽出し、印象情報を集約し、付箋紙に記述(良い印象:黄色、悪い印象:ピンク色)。壁に貼った旧市街地の地図に付箋紙とインデックスシールを貼り付ける作業を行う。次に、班員で話し合って印象情報に最も対応した写真データを選択。地図上の撮影地点に近い周辺部に貼り付け。付箋紙も周辺部に移動し、情報を整理。

写真2-1 印象情報の集約作業(1班)
写真2-2 印象情報の集約作業(2班)
写真2-3 印象情報の集約作業(3班)
写真2-4 印象情報の集約作業(4班)

9月14日(木)Day 3

11~13時にOliver教授の引率でアリカンテ大学のキャンパス建物の見学(写真3-1)。キャンパスはアリカンテ市中心部からトラム2号線で西に30分の位置。まずアルヴァロ・シザが設計した学長室のある事務管理棟を見学(写真3-2)。キャンパス敷地はかつて空港であった。管制塔は大学施設に転用されている(写真3-3)。また、飛行機格納庫の骨組は庭園の展示物として再利用されている(写真3-4)。ラモン・ロサレス設計の第2講義棟、ハビエル・カルバハル・フェルレッル設計の社会科学棟、ハビエル・ガルシア・ソレラ設計のヘルマン・ベルナセル棟などを見学。昼食後、El Claustroに戻り、班ごとにプレゼンテーション準備。

写真3-1 アリカンテ大学キャンパスの見学
写真3-2 アルヴァロ・シザ設計の事務管理棟
写真3-3 管制塔を転用した大学施設
写真3-4 航空機格納庫の骨組を転用した庭園

9月15日(金)Day 4

10~14時にプレゼンテーション準備、16~18時にリハーサル(写真4-1)。18~20時に旧市街住民の代表者Daniel Kratzer氏(写真4-2)、アリカンテ市都市計画部のアドバイザーである建築家のRuben Bodewig氏、アリカンテ大学Enrique Nieto教授(建築家)(写真4-3)、Kaoru Fukui先生を迎え、調査結果についてプレゼンテーション(写真4-4~8)。上記の各氏、José Luis Oliver教授(建築家)、小檜山雅之教授、Jorge Almazán准教授で意見交換。飲食店が多いためごみが多い問題、落書きが多い問題、空き家不法占拠の問題などについて、建築・都市計画的な解決方法について話し合った。アリカンテ市ではローマ時代の歴史的な建物を改修のデザインに生かす努力を行っており、一棟一棟のレベルだけでなく都市空間として歴史的な遺産を活用することが解決策の一つとなりうる。

写真4-1 プレゼンテーション準備の様子
写真4-2 旧市街住民の代表者Daniel Kratzer氏
写真4-3 アリカンテ市都市計画部のアドバイザーである建築家のRuben Bodewig氏とアリカンテ大学Enrique Nieto教授(建築家)
写真4-4 アルマザン准教授の司会により進行
写真4-5 1班のプレゼンテーション(1班)
写真4-6 2班のプレゼンテーション(2班)
写真4-7 プレゼンテーション(3班)
写真4-8 プレゼンテーション(4班)

9月16日(土)Day 5

グラナダ市にバスで移動。到着後、各班に分かれ、グラナダ大聖堂等を見学。

写真5-1 グラナダ大聖堂

9月17日(日)Day 6

10~13時にアルハンブラ宮殿を見学(写真6-1~6-8)。水を活用した建築温熱環境の微気候的コントロール、窓や各部屋の出入り口のアーチなどによる光のコントロールといった建築的な工夫についてスペイン人ガイドのDiego Muños氏、アルマザン准教授から解説。その後、バスでマドリッドに移動。

写真6-1 アルハンブラ宮殿の見学
写真6-2 カルロス5世宮殿。柱は現地で産出する礫岩を使用
写真6-3 アラヤネスのパティオ
写真6-4 パティオの池の蒸発冷却により清涼な環境を作っている
写真6-5 パティオを取り囲む回廊
写真6-6 室内にも積極的に水を取り込んだデザイン
写真6-7 水面を反射する光を利用し、アーチを強調してリズム感を生んでいる

9月18日(月)Day 7

班ごとに事前に計画した調査ルートに従って、アトーチャ駅(写真7-1)、カイシャ・フォーラム(写真7-2)、ソフィア王妃芸術センター(写真7-3)などをフィールドワーク。

写真7-1 アトーチャ駅
写真7-2 カイシャ・フォーラム
写真7-3 ソフィア王妃芸術センター

9月19日

バスにて空港へ移動し、帰国便に搭乗。

9月20日

成田空港到着、解散。

Back to Top